ビジネスホテルに一泊です。昔はヨットに宿泊していましたが、もうそんな歳ではありません。もちろん夜はお好み焼です。
私は安くあげようとの魂胆でしたが、広島のお好み焼屋さんは、早い話しが鉄板焼屋さんでした。ホルモン焼きからステーキまでなんでもありです。店員のマリリンちゃんが可愛いのでゆっくり呑んでしまったのであります。
午前8時30分に広島出航です。
ヨットをマリーナから出して最初に最大速度を出してみます。7ノットオーバーで走ることが分かりました。当初の計画通り巡航6ノットで航海することにします。
同行いただくのは大型船の船長資格もあるA氏と、私と一緒に4級からテンプラで小型船舶1級免許にカラリと繰り上がったS氏です。
ふたりとも不敵な面構えです。怪しいです。昔からのヨット仲間です。ふたりとも狩猟免許(罠)も持っています。いまでは猟仲間です。
沖から見ていた船も怪しいと思ったようです。神社で有名な厳島(宮島)付近から付いてきました。
岩国手前でどんどん接近してきました。
大砲積んでまんがな、この船。自衛艦です。レーダーが回っています。
ロックオンしやがったら撃ち返すぞ、と船尾から股間の小さな大砲を取り出して艦に向かってオシッコをする我々なのです。
どうやらこの行為がまずかったらしく、次は空軍登場です。ヘリコプターが低空飛行で付近を飛び回ります。
写真では小さく見えますが、実際はすぐ近くです。岩国沖を通過するまで飛んでいました。
オスプレイがやってくるので不審船警戒でしょう。その中にまさに不審な我々が飛び込んでしまったのです。
今回クルージングの最初の難関は大畠瀬戸です。山口県柳井港手前にある狭い水道です。水道上部には橋がかかっています。大型船が行きかう航路です。ここまで5時間かかりました。
無計画な我々です。逆潮の最大潮流時にこの橋にたどり着いてしまったのです。
ここで初めてオートパイロットを解除してS氏による手動操舵です。激しい流れです。川みたいです。
洗濯機の中みたいにぐるぐるかき回されます。(洗濯機の中に入ったことはありませんので誇大な表現ですね)S氏は忙しく操船します。車で言えば左右にドリフトしながらまっすぐに走るわけです。経験がなせる技です。
ヘボが舵を持つとあっという間に船首が流されて横倒しです。(この場合のヘボは私です)
2ノットくらいしか対地速度が稼げません。こんなときに大型船がきたらたいへんです。来ないようにA氏と私は周囲を睨みます。効果がありました。
橋下を通過する時、「マストが当たるぅ」と叫ぶのはヨットのお約束です。
でもヨットを始めた頃、春の大潮で本当に運河の橋にマストをぶつけたことがある私は言いません。こわごわと通過です。
大畠瀬戸を過ぎて平郡島付近を越すともう島はありません。
セールを上げて機帆走で佐田岬先端を目指します。この間が遠いのです。5時間かかります。半島沖にたどり着く間に日没を迎えます。
夕日がきれいです。
♪ 佐田の岬に沈みゆく、燃ゆる夕日を身にあびてぇ ♫
高校生の頃に歌わされた応援歌を思い出します。母校(宇和島東高校)は当時もいまもボート競技の強豪校です。校内ボートレース大会があったりします。海好きを育てる学校です。
日が落ちると寒くなってきました。
お湯を沸かします。交代でキャビン内でカップ麺やらインスタントコーヒーで暖を取ります。
今回第二の難所は佐田岬沖です。ここには黄金碆という恐ろしい岩礁地帯があります。しかも航路が交錯しています。月のない闇夜に通過したことははじめてです。プロ船長のA氏も緊張して操船です。
やっと岬先端をかわすと、つぎは半島に沿って一直線に三瓶を目指すのです。真っ暗です。GPS装置で自分の位置は分かりますがレーダー設備がないので前方確認は目視しかありません。3時間頑張りました。目が疲れました。
やっと明かりが見えました。三瓶湾沖です。
「セールよ、あれが三瓶の明かりだ」
カッコよく言いたいのですが、A氏は、
「マメキンの明かりだ」
と言います。
小型巾着網漁船を当地方ではマメキンと言います。好きになりそうなネーミングです。
それにしても数が多いのです。湾入り口付近に5隻もいます。マメキンをかき分けて入港したのであります。
到着時刻は午後11時でした。ヤンマー2GMエンジンはノンストップです。偉大です。人間はバテてしまってヘロヘロです。しばらく船に乗りたくもないのです。
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