骨抜き

S選手から応援要請。大きなシカを撃ったので手伝いに来いという。

こどもの日だというのに、抜け駆けしてひとりで山に行ったら、当たってしまったらしい。真横から肩甲骨を貫通している。ライフル銃の威力は凄い。



これがまあ、大型のメスで、重い重い。


ふたりでヒーヒー言いながらトラックまで運びだした。

「賞金は同じなんだからもっと小さいの撃てよ」

「こどもが近くにいるはずだから待ったけど来なかったねえ。２頭の予定だったのに」

なんというケダモノなのだろう。こどもの日だよ。



市役所に持ち込んで確認写真撮影。





ふたりで解体。フォークリフトでぶら下げて作業する。どうせ犬用の餌なのでアバウトにやる。背ロースだけは丁寧に取って、サトちゃん選手への貢物にする。これのタタキが大好物なのだ。でも彼は愛犬のナナちゃんにシカやイノシシの肉などは食べさせない。ちゃんとスーパーで豚肉や牛肉を買って料理して食べさせる。お犬様なのだ。



「肉は犬を保護されている方に持っていけ」

S選手はちゃんと覚えている。

でもね、あそこ、骨抜いて持っていく必要があるんだよね。


「お前が骨抜きになってるんだろう」

手伝ってやったのに辛辣だね。

骨抜き作業にまたヒーヒー言った。

スライスしてパックまではしなくていいだろう。



この骨は我が家の犬たちのオヤツ。かじっている間は静かだ。










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